遠い昔、
お銀とこ銀と言う仲の良い姉妹が両親の愛情を一心に受けて暮らしていました。
ところがお銀が10歳、こ銀が8歳の時に母親が流行り病で天国に召されてしまいました。
残された姉妹は大変嘆き悲しんで暮らしていましたがそれから3年経ち、新しい母親を迎える事になりました。
継母は父親がいなくなると、二人に折檻をするようになり姉妹には辛い毎日が続くようになりました。
そんな折・・・父親が、しばらく旅に出る事になりました。
継母の折檻は日増しに酷くなりついには冬の寒い日に風呂桶に竹籠で水を汲むように命令したのでした。
竹篭では水くめません。
かといって文句を言えばどんな仕打ちを受けるか知れない。
姉妹は井戸に籠を入れると、小走りに風呂場へ行き雫を落としながら井戸と風呂の間を何回も何回も行き来しましたが、それはそれは大変です
夜になっても終りませんでした。
北風が突き刺すように吹いて姉妹は抱き合って体をあたため合って凌ぎましたが疲れてしまい
そのままくずれるようにそのまま眠ってしまいました。
朝になって、継母が様子を見に来ると、二人は凍え死んでいました。
旅から戻った父親は嘆き悲しんで墓に生えた二本の小さな竹を娘の生まれ代わりと信じて朝に夕に水をやり立派な竹に育てました。
或る日、一人のお坊さんが通りかかりこの立派な竹で横笛を作りたいと父親に申し出ました。
早速出来上がった笛で吹いて見るとそれは姉妹がむせび泣く声になるのでした。
その泣き声は「おっとう、かかさまと同じ墓に埋めてくだされ・・・」と何度も泣くのでした。
それを聞いた継母は泣き伏して罪を深く詫びたのです。
その後、お銀とこ銀は母親と同じ場所に埋葬される事になりました。
すると
今まで花をつけなかった墓の上の椿の木に真っ赤な椿の三つ花が咲き誇ったっということです。
おしまい
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